新設:2022-01-01
更新:2024-06-01
内山峡(一節) 渋沢青淵
勢いは青天を衝いて臂を攘て躋り
気は白雲を穿て手に唾して征く
日は未牌に亭まりて絶頂に達し
四望すれば風色十分に晴る
【通釈】
自分の意気は青天を衝き、腕を捲ってよじ登る。
精神は白雲を穿ち、手に唾して進んでゆく。
ひつじの刻限(午後二時)に山頂に達して、
四方を眺めると、十分に晴れ渡り美しい景色である。
[注]
第1句の「青天を衝き」を「青天を衝け」としたのが、NHK大河ドラマのタイトル
【出所】
内山峡詩碑(佐久市内山 国道254号線沿い)
【作者】
この漢詩の作者は、数多くの日本企業の創業に関わり、日本資本主義の父と称された渋沢栄一(渋沢青淵)です。
1858年(安政5年) 栄一19歳の歳に、従兄弟の尾高惇忠とともに信州へ仕事で旅に出た際に佐久の名勝内山峡で全36句の漢詩「内山峡」を詠みました。
その漢詩の一節(第13-16句)では、山頂に到達した時に感じた気力の充実と爽快さを見事に詠っています。
【吟詠】
2005年から詩吟を再開した小野正典君(1975年卒)が吟じる「内山峡(一節) 渋沢青淵」を お聴き下さい
小野正典君は、現在慶吟会OB会副会長をつとめ、(公社)日本詩吟学院準師範の資格を有しています。
【内山峡詩碑より 全詩文】
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